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2021.12.13掲載  社説「時々刻々」

「リベンジ消費」の動向 高まる「ホンモノ」へのニーズ

論説委員 染谷和則

 お歳暮シーズン真っ只中、またおせち料理の予約も百貨店など各地で盛んだ。今年のトレンドは「より良いもの」だそうだ。高価格帯や付加価値の高いものが人気を集め売れている。
 新型コロナウイルスの感染拡大が一定数落ち着きを見せ「リベンジ消費」との見方もあるが、一方で「そうではない」というアナリストの意見も多い。
 忘年会シーズンにも入ったが、飲食店への客足の戻りは感じられない。取材先や取引先との会話でも「大がかりな忘年会は今年もやらない」や「部署の仲間内だけで各々やる」など縮小傾向。中には「コロナに関係なく、もうやらなくていいことも分かった」との話も聞く。
 外食の機会の減少がもはや日常となってしまった以上、人々の価値観が大きく変わった。自宅で過ごす時間が増加している以上「リベンジ消費」のニーズは自宅で使うもの、自宅で食するものなどに向けられている。
 例えば家具のいす。自宅で仕事する機会が増えたことを機に、長時間過ごすものに快適性を求めてより良いものにしようとするニーズが高まっている。
 また冒頭のお歳暮やおせち料理も同様の理由で販売が好調のようだ。
 健康や美容もより良いものや高付加価値が注目を集めており、販売は好調。自身の将来の身体への投資として、予防や未病の見地から、これまで消費していた外食や交際費を浮かし、これらにお金を回そうとする動向。消費者が「ホンモノ」を求める、そんなニーズが高まっているようだ。
 今号で報じた中古マンションも同様。躯体に関係なく一室丸ごとリノベーションでき、そこに自身がこだわった床材や資材が使えるなど「より良いもの」「ホンモノ」に囲まれた生活をつくることができる。そのことが人気を集めている。駅近くや、建築年数が浅い物件など、付加価値の高いものはより需要があるという。
 新型コロナ流行の副産物として、消費者の目が肥えたと言えるかもしれない。この動向は奈良県として歓迎すべきこと。本物に触れる歴史文化資産、南部のブランド木材、これらを積極的に市場へPRすべき時だろう。
 後は、地方行政や地方議会も「ホンモノ」ばかりになり、〝偽物〟や〝粗悪品〟は姿を消すよう、こちらも有権者として真贋を見極めたいものだ。

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