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2021.9.27掲載  社説「時々刻々」

熱戦の総裁選に相反する衆院県3区 政治の〝過疎化〟懸念

論説委員 染谷和則

 自民党総裁選(29日投開票)が、近年稀に見る盛り上がりを見せている。奈良県初の総裁選候補に衆院県2区選出の高市早苗・前総務相が立候補したことを受け、県内の自民関係者は特に熱が入り、街頭での呼びかけも目にする。
 いよいよ近づく衆院選への熱も帯びる中、その一方で盛り上がりに欠けるのが衆院県3区だ。コロナ禍の緊急事態の中「深夜のクラブ活動」の批判を受けて自民党を離党した田野瀬太道衆院議員がまだまだ立候補の態度を明らかにしていないが、出馬するものと見られている。
 同区について自民党は候補者擁立を見送り。無所属で戦うことになるものの、この判断は事実上、田野瀬氏の援護射撃になることは間違いない。
 対立軸となる野党は、共産党が立候補を表明。また諸派の出馬もあるが、立憲民主は候補者擁立を模索しているとしているものの、同党関係者によると、白羽の矢が立ちそうになるがすぐに話が立ち消える状況だ。「本気で擁立する気概を感じられない」「自民と同様、いつから立憲民主は田野瀬氏を支援すようになったのか」とまで漏れ聞こえる。
 衆院県3区は広大な選挙区。選挙活動中の移動距離に比べ有権者に会える人数は少なく、他選挙区と比較して「活動の効率が悪い」などと評される。また過疎化はさらに加速しており持続可能な地域づくりや都心部とをつなぐインフラ整備、交流人口増への取り組みなど課題は山積する。山間地を有し、記憶に新しい10年前の紀伊半島大水害のよう、防災面での課題や、救急医療の問題もある。
 切実な諸課題が迫ることに相反して、それらに向き合おうと政治を志す熱は低い。さまざまな候補が政策をぶつけ合って戦い、有権者が選んだ衆院議員がこれら地域の課題を国に届けるべきだが、改選後の派閥構成や、遠慮・忖度などが勘ぐられ、積極性を感じられない。 
 同選挙区の有権者が言う。「無所属候補を相手に、自民は見送り、立憲民主も手をこまねいていては今後、政治の過疎化すら加速するのではないか。自民候補者がいないという今ですら、こんな状況では…」。たしかに過疎化、高齢化が進む中、衆院議員を志そうとするなり手や人材不足が懸念され、諸課題の解決からは遠のく。
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