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2021.1.25掲載 社説「時々刻々」
東京五輪まで半年 開催是非、国民的議論を
論説委員 染谷和則
来年に延期された東京五輪だが、開幕まで半年を切った。しかし新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、中止論や延期論の声が大きくなってきている。「平和の祭典」どころの話ではなくなってきていること、開催にかかる莫大な財源を急を要する支援や助成に使うべきなどの意見が多い。また海外を含めアスリートからも中止や延期の声が出ている。 またここに来てわが国に同ウイルスの「変異株」が上陸。感染者の事例が報告され始めている。また緊急事態宣言が再発令された東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数は、連日1000人以上で推移しており、専門家は年末年始の外出による感染の広がりだけではないと指摘。緊急事態宣言が功を奏していない懸念もある。 政府は2月下旬から医療従事者を優先して新型コロナウイルスのワクチン接種を開始したい意向。政府は現段階で東京五輪について「ワクチン接種を前提としなくとも、安全で安心な大会を開催できるよう準備を進める」としており、開催の判断や条件にワクチン接種を入れない考えだ。 一方、奈良のお隣、大阪府大阪市の松井市長は20日「国内のワクチン接種を夏までに終えるのは不可能」と述べ、東京五輪を再々延期して令和6(2024)年に開催すべきと指摘した。ただ、「最悪なのは中止され、なくなってしまうこと」と付け加えた。 また松井市長は、提案した東京五輪開催の再延期の翌年、大阪府内で令和7(2025)年に開催が予定されている万博と連動することで「コロナ後の経済活動の目標が一つになるメリットもある」と持論を述べた。 人口、経済規模、そしてコロナ禍の中で感染者数も増加し続ける東京都―。肥大化したまちの脆弱さが明らかになっている今、諸手を挙げて東京五輪開催へと突き進むのは、タイムリミットが半年という時間を考慮すると厳しい状況。半年前を振り返っても、新型コロナは落ち着きを見せず、逆に猛威が増している。 開催、中止、延期を政府と東京都だけの議論ではなく、地方を含めた国民的議論が必要。肥大化したまち、そして肥大化したオリンピックの開催規模などに、皆で向き合う時が来ている。それも「アフターコロナ」として考えるべきことではないか。
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