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2020.10.26掲載 社説「時々刻々」
「奈良」のブランド力高い一方、地域差浸透はまだ 県内各地で異なる魅力の発信を
論説委員 染谷和則
都道府県の魅力度ランキング2020(株式会社ブランド総合研究所調査)が発表され、奈良県は47都道府県中7位となり、昨年と同様の順位だった。1位は北海道。一方、全国1000の市町村を対象にした魅力度ランキングでは、上位25位までに奈良県内の自治体の名前はなく、ベスト5には北海道の各市が3つもランクインした。 全国の計3万1734人から有効回答を得た同調査だが、47都道府県や各自治体の実情のすべてを浮き彫りにしているとは言えない部分もあろうが、都道府県単位で言えば、「奈良」というブランドは高く評価されているものの、県内各地のブランディングの位置づけはまだまだ全国に浸透していないことをうかがわせる。 早速、都道府県のランキングで最下位に転落した栃木県は一躍有名に。福田富一知事は庁内にチームを作り、ランキングの中身を検証したいと、怪訝な雰囲気…。自ら直接、調査した東京都のブランド総合研究所を訪れたが、同社には「最下位はチャンスですよ」と話されたという。 47都道府県で1位に輝いた北海道はたしかに、それぞれの街にそれぞれの魅力が光る。1000の自治体の魅力度ランキングのトップ5で、函館市、札幌市、小樽市がランクイン。それらの魅力が相乗的に「北海道」全体を押し上げている。 奈良は真逆。「奈良市とそれ以外」などと長年揶揄されてきた奈良県は今、各市町村のそれぞれの場所で県と市町村が協働でまちづくりを進めようと約10年ほど取り組んでいる。天理市のように全国的な注目を集める駅前広場ができたところもあれば、くすぶっているところも―。 今回の調査結果でわが県が「チャンス」ととらえるならば、総合的な奈良のブランド力は相変わらず高く、全国の方々に認知をしてもらっている。各市で異なる魅力を全国に発信できていない部分があるということを考えていく必要がある。 県内自治体の連携や行政の効率化などを目指す「奈良モデル」を推し進める一方で、東西南北それぞれの魅力がある県内各地を、画一的な「歴史」や「自然」の謳(うた)い文句だけでなく、個々の魅力を発信するようなブランディングをしていくべきだ。それも「奈良モデル」ではないか。
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論説委員 染谷和則