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2020.1.27掲載  社説「時々刻々」

労使の絆は「36(サブロク)協定」 実効性ある働き方改革へ

論説委員 寺前 伊平

 長らく長時間残業の温床となっていたのは、労使間の合意があれば労働時間を無制限に延長できるという抜け穴に起因する。 ところが、昨年4月1日から「働き方改革関連法」が順次施行され、悠長なこともできなくなるばかりか、厳密な労働時間の管理が求められ、違反すれば罰則も伴うことに。 大幅な労働基準法の改定により、時間外労働の上限時間が初めて法的に罰則付きで定められたからだ。上限は原則月45時間、年360時間。中小企業・小規模事業者は今年4月1日からの導入となる。奈良県内の企業は、約3万6000社。その多くは中小企業、小規模事業者で、そういう意味では奈良県は「今年が働き方改革元年」と言うべきだろう。 連合奈良は昨年、3月6日を「サブロクの日」と名付け設定した。時間外労働(残業)や休日労働をさせるためには、労働基準法第36条に基づく労使協定「36(サブロク)協定」の締結が必要。そのうえで、所轄の労働基準監督署長への届け出が必須となる。 そして、時間外労働での臨時的な特別事情があって労使が合意する場合があっても、年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働含む)、月100時間未満(同)を超えることはできない、とした。抜け穴は無くなった格好だ。年次有給休暇については、時季を指定して毎年5日与える必要が出てきた。 連合奈良は、こうした働き方改革がスムーズに遂行していくため、県知事や他団体含め7者と「時間外労働の是正に関する共同宣言」に署名している。 とはいうものの、人手が足りない中で、それでいて労働時間をさらに短くしなくてはならない。有給休暇をより多く取らせていかなくてはならない。雇用者側にしてみれば「こんな中で、どう企業経営をしていけばいいのか」という不安の声があるのも事実。 さらに追い打ちをかけるのが、正規雇用とパートタイマーなど非正規雇用の労働者の間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに、不合理な待遇差が禁止される(一般企業は今年4月1日から、中小企業・小規模事業者は来年4月1日から)。 いずれにしても、奈良県における働き方改革が、会社経営に実効性を伴わなくてはならない。そのための検証は常に行うべきだ。


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