2025.12.1掲載 コラム「而今」
松尾芭蕉が俳諧の理念として「不易流行」を掲げた。解釈は多々あるが「伝統的な価値や本質を守りながら、時代の変化を取り入れていく」といったもの▼その年の世相を反映した言葉を選ぶ「新語・流行語大賞」がきょう1日に公表される。発表されている候補には高市早苗首相が自民党総裁選で決意を語った「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」をはじめ30の言葉が並ぶ▼日々変わるスピード感のあるのが「流行」とすれば、不変の歴史が残る奈良はその逆の位置するとも捉えられるのか。しかし、時が過ぎると忘れ去られ〝消費〟される流行とは違い奈良の文化は、時代に左右されない価値を提供し続ける▼そんな変わらない風景が奈良の良さでもあるが、大阪や京都など周辺地域からの通過型になっている観光や交通アクセスなど、変化が求められる課題もある▼さまざまな場面で聞く言葉になったが、必要なのは「目的地になる」取り組み。新しいものを作るのでは一過性のもの。「奈良」でありながらの変化が求められる。(梅)
