2025.5.5掲載 コラム「而今」
学校法人帝塚山学園のグラウンドで先月、落雷により中学生2人が意識不明になった事故を受け、県高野連が球場に落雷探知機を導入するという。しかしこの探知機、数十年前から存在する。プロ野球やゴルフ場では当たり前、スマホアプリでも警告できる時代に、なぜ今なのか▼事故当時、顧問は雷注意報を把握しておらず、グラウンドには100人以上の生徒がいた。命を守るべき大人の危機管理が曇天より鈍く、取り返しのつかない結果を招いた▼ようやく導入が決まったが、日本サッカー協会もガイドライン確認を加盟団体に求める事態に。後手の対応には苦笑を禁じ得ない▼事故後、警察が状況確認に動き、学校は安全管理指針を公表。「もっと早くできなかったのか」という声もある。雷は「青天の霹靂」とも言うが、多くは予兆がある。それを見逃していないか▼探知機が球児の命を守る時、私たちはつぶやくだろう。「なぜ事故の後に」と。回復した生徒は小さな光だが、関係者は次の犠牲を防ぐため、予防的な危機管理を徹底すべきだ。雷雲より早い意思決定を願う。(佑)