2025.4.14掲載 コラム「而今」
万博関連催事で県が募集したボランティア450人に対し、応募わずか15人。「やりがい搾取」という言葉が定着して久しい。無償労働を美徳とする時代は終わり、「経験値」や「感謝の言葉」だけでは人は動かなくなった▼交通費すら自己負担では驚きだ。ボランティアの「善意」に頼る姿勢は「タダ働き募集」の美名化ではないか。万博という国家的イベントで、なぜ人件費に予算を回せないのか。疑問に答えられぬまま、人手不足の嘆きだけが響く▼「有償ボランティア」という矛盾した言葉も生まれた。地域振興の名で無給で働けというのは、経済事情を無視した発想だ。年金だけでは生活できない高齢者も増え、無償奉仕は難しい▼炎天下の屋外での長時間立ち仕事。「おもてなし」という接客業を無償で行えというのだ。同じ条件なら時給1500円で雇えばいいのにと思うのも当然だ▼万博成功の陰には多くの協力がある。しかし「協力」と「搾取」は紙一重だ。ボランティア不足は現代社会の矛盾の表れ。無償労働への依存体質を改めない限り、解決はないだろう。 (佑)