2025.3.3掲載 コラム「而今」
県内で加速化する少子化の波は教育施設に押し寄せている。橿原市の真菅北幼稚園が50年の歴史に幕を下ろし、閉園イベントには400人以上が集まった。市の「適正配置実施計画」に基づく再編だが、多くの人が名残を惜しんだ▼待機児童の解消問題と幼保一元化の流れの中、全国的に認定こども園への移行が進んでいる。同園の跡地には「橿原北やまとこども園」が建設される予定だ▼地域の子育て環境を守りながら変化に対応する難しさが、ここに表れている。前田真紀園長は「地域から愛され、大切にされてきた幼稚園だとあらためて感じた」と語った▼イベントでは、卒園児と教諭の再会や、プロ野球監督からのビデオレターなど、世代を超えた交流があちこちで見られた。半世紀を超える園舎への思いは、それぞれ筆舌に尽くしがたい▼園庭で遊ぶ子どもを見ていると、目頭が熱くなる。時代の流れは避けられないが、小さい子らの思い出に残ってほしいと切に願う。真菅北幼稚園の歴史は、これからも多くの人の心に、そしてわが家の思い出にも生き続ける。 (佑)