奈良県内の政治経済情報を深掘

2025.2.24掲載  コラム「而今」
 井上陽水さんの代表曲「少年時代」の歌詞には「夏は過ぎ風あざみ」「宵かがり」など、井上さんの造語が散りばめられている。意味はなくともリズムや響きが、それぞれの郷愁を誘う▼昨年、明治安田総合研究所が「地元愛」をテーマに、全国18歳以上69歳以下を対象にアンケート調査を実施した。その中で地元を出た人に向け「何が満たされれば、地元に戻りたいのか」の設問に「やりたい仕事や就職先があれば…」が最も多かった▼これらの結果が大方の意見を集約しているとするならば、地元を離れるのは言わば、ないものを求めない「諦め」、ふるさとを出る片道切符の「覚悟」▼ただ、このアンケートでは、思い出話をした時に地元へ帰りたくなるとの結果もあった。都心部で奈良を思い出すきっかけが、全国を騒がせたくだらないK―POP騒動だとすると、果たして帰りたくなってもらえるか▼片道切符を握って離れたそれぞれに思いがある郷土が、時の為政者によってネガティブに全国へ発信されることは、復路の切符をもう一度諦めさせる。(梅)
menu
information