奈良県内の政治経済情報を深掘

2025.2.17掲載  コラム「而今」
 厚労省の統計では日本各地に墓地が87万カ所あるらしい。そこにある墓は星の数ほどだが、超高齢化を迎えた今、墓の需要は高まっていくものの、その後は急激に無縁墓が増えると予測されている▼都市部への移住で地方の墓は無縁墓が散見される。節目に先祖代々の墓に皆で静かに手を合わせる。この脈々と続く風習は単なる宗教行為を越え、家族であることを再認識する場でもある▼自民党が選択的夫婦別姓を検討する「氏制度のあり方に関する作業チーム」の会合を12日に開き、議論を本格スタートさせた。松島みどり元法相は「同一の氏を社会的にも強制されることによって、つらさとか、不便とかを感じる人のことを考えた結論に」と発言した▼つらさを感じている人はどれほどいるのか。日本の家族の形を変えようとする以上、正確な数の根拠を積み上げなければならない▼社会構造の変化とは言え、無縁墓を量産してしまっているわれわれ現役世代が、次世代にこれは「父の墓」こっちは「母の墓」などと、子や孫に任せるのは無責任にも程がある。       (染)
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