2025.1.13掲載 コラム「而今」
新しい年が明けた。桜井市の大神神社では、蛇を「巳(み)さん」と親しみを込めて呼び、古くから神聖な存在として崇敬してきた。この地に伝わる巳さんへの敬愛の念は、日本人の自然との共生の知恵を今に伝えている▼コロナ禍を経て、世界は大きな転換期を迎えた。デジタル化の波は教育現場や職場を変容させ、AIとの共生という課題も突きつけられている。蛇が脱皮するように、われわれも社会の古い殻を脱ぎ捨て、新たな姿へと生まれ変わらなければならない▼蛇の特徴にはもう一つ、「しなやかさ」がある。硬直することなく、状況に応じて柔軟に進路を変える。われわれも固定観念にとらわれることなく、変化する環境に適応していく必要がある▼気候変動への対応やエネルギー問題など、今年も多くの課題が待ち受ける。古来より神々と共に生きてきた日本人の叡智に学び、自然との調和を図りながら、これらの課題に向き合っていくべき▼巳さんのようなしなやかさと、脱皮に象徴される再生の力を胸に、一歩一歩粘り強く進む―。そんな年になることを願う(佑)