2024.12.2掲載 コラム「而今」
年を取ったからか1年がより早く感じる。独り身には染み入る季節だ。何か温かいものをと飲食店に入ると、若い店員から「QRコードを読み取り注文はLINEで」と言われた▼人件費の削減や現場の効率化を突き詰めていくと、これらのオーダー方法がベター。異論を唱えると「老害」と揶揄される昨今だが、なんとも味気がない。求めた温もりはどこへやら―▼きょう2日は流行語大賞が発表される。ノミネートされた「50―50」が選ばれれば、3年前の「リアル二刀流/ショータイム」に続き、大谷翔平選手関連が2回目になる▼言葉の使い方や意味は、時代の変化というより世代によって変わる。古来より日本人は言葉を略す傾向にあるが、「りょ」(了解)や「ジバ」(自腹)など何を意味するのか想像もつかない▼英知を、利便を極めようとデジタルが進むにつれ、効率化や画一化はより加速。言葉すら略す〝工夫〟をする一方、人と人の関わりは退化か。これで現場の創意工夫が生まれるのか不安になる。われわれはどこへ走っているのか。季節はもう師走。(梅)