奈良県内の政治経済情報を深掘

2024.8.5掲載  コラム「而今」
 少し古いデータになるが、奈良県が平成25年にまとめた「奈良県消費流出実態調査」では、県外への消費流出額が約4000億円と試算され、県民の全消費額1兆7000億円の23・5%にも上る▼県外就業率、県外就学率の高い奈良。大阪府への依存度が高く、前述の県民が稼いだお金をわざわざ大阪府に献上している状況。人口の流出も奈良は全国的に高く、今年の総務省の統計では26年連続流出が明らかになっている▼夏休み本番になり、子どもたちの賑わう声が聞かれる。しかし、この奈良の子どもたちは将来、奈良にいてくれるだろうか―。夏休みに保護者に連れて行ってもらうのは、県外が多いだろう▼子どもたちにふるさとを大切に思う気持ちを醸成するのは大人の努め。「何もない」などと言い訳せず、「何か」を探す県内ツーリズムに転換することで、もったいない流出額を県内で循環させることができる▼万博のおこぼれを誘客しようとする取り組みより、そろそろ身を切って大阪に献上する県民性から「身を切らない改革」へ転換が必要だ。      (染)
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