奈良県内の政治経済情報を深掘

2024.7.29掲載  コラム「而今」
 急な病気やケガをしたとき、「119」番通報して救急車を要請する。その際、住所や症状など、誰が、どのように、どうなったかを簡潔に伝えると救急隊員が駆けつけてくれる▼住所が分かった時点で救急車は出動し、あとは電話で適切な応急手当の方法を指導してくれる。1分1秒を争う状況の中で、このスピード感が生死を分けるといっても過言ではない▼22日、下北山村の池原ダムで大阪市に住む50歳代の父親と5歳の娘が死亡しているのが見つかった。警察は現場の状況などから父親が無理心中を図ったとみて詳しい経緯を調べている▼父親は前日の21日、大阪府内の児童相談所に「死にたいので子どもを預けたい」と電話をかけており、職員が詳しく事情を聞いていたところ、途中で電話が切れたという▼担当者と一体どのようなやり取りをしていたのかは定かではないが、この「詳しく」というところが引っかかって仕方ない。切羽詰まった人に対して、詳しく聞くのではなく、ひとまず子どもを預かる行動であれば、違った未来があったのではと悔やまれる。       (佑)
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