2024.6.10掲載 コラム「而今」
病院に行くと番号札が発券され、診察科の天井近くのモニターに番号が順に表示される。デジタル化が進み、病院に限らず郵便局や公共施設でも見るようになった〝当たり前〟の光景だ▼作業の効率化や利便性向上を目的にデジタル化が進む。だが、人が操作する部分があれば「ヒューマンエラー」(人間が原因で発生するミスや事故)の可能性が出る▼県内で先月、障害者手帳を持つ人の情報を別の障害者のマイナンバーにひも付けるミスがあった。原因は職員が手作業でデータ修正した際に、ずれが生じたためだ▼また先日は約480億円ものビットコイン不正流出事件も発生。これもヒューマンエラーがあるかもしれない。デジタル化が進みそれを過信するあまり単調な人的ミスが起こりやすい土壌になっている。人の思考も停止しがち▼病院へは体調が悪く訪れている人が多い中、その都度天井を見上げさせる冒頭のシステムは、ただただデジタル化で導入されたものと勘繰りたくなる。それ自体がヒューマンエラーにも見え、人に寄り添っているとは言い難い。(梅)