奈良県内の政治経済情報を深掘

2021.12.20掲載  コラム「而今」
 油が染み込んで滑りやすい、に手書きのメニュー。かれこれ40年はある店。厨房に立つ親子がそれぞれ担当する料理をしている。2人の会話は「ん」と「ん」のみ。あっという間に注文したやきめしとギョウザがトン、トンと出された▼その味もさることながら、昭和の匂いがする店内の雰囲気、調理する音までが、美味しさにつながっている。特筆すべきは、親子の阿吽の呼吸。各々が「ん」だけでやるべき作業のすべてを理解しているのがお見事▼政府は二転三転の末、18歳以下の子どもへ10万円を給付することについて、クーポンを使わず現金で全額支給することを無条件で認める指針を自治体に通知した▼多額の事務経費が掛かるマンパワーも必要なクーポン支給は、当初から地方自治体や国民から反対意見が多数だった。こんなにも政府意向とズレがあるのはなんとも滑稽▼昭和、平成、令和と時代は進みスタンダードも変容したものがあるものの、当たり前に分かるであろうことが阿吽の呼吸で分からない政界は、どこの時代で停止しているのか。      (染)
menu
information