奈良県内の政治経済情報を深掘

2021.10.4掲載  コラム「而今」
 ハイブリッドや電気自動車が台頭してきた近年、自動車のエンジンの排気量は「スモール」が合言葉。燃費や空力など、環境性能をいかに高めるか各メーカーが鎬(しのぎ)を削っている。排気量は小さくとも、車両価格は上昇傾向だ▼このスモールは冠婚葬祭の業界にも。県内各地には「家族葬」を専門とした葬祭業者がさまざまなプランを用意し、超高齢化社会の中、高まる需要に対応しようと知恵を絞る▼ただここにきて苦しい経営状態の会社もちらほら耳に。新型コロナウイルスの感染症対策のため、家族葬はさらにスモールに。さらには葬儀を執り行わない家庭も出始めていることが原因だそうだ▼もともと家族葬は少人数の参列のため安価な設定。そこに新規参入業者が多く台頭し、価格競争は激化。加えてコロナ。薄利多売の構造が崩れ「薄利少売」ときている▼家電、コンビニ、飲食…。価格の競争は消費者利益につながる一方、消費者のあくなき欲は経済の退化にもつながる両刃の剣。こんな時代だからこそ、相手に思いを馳せることを大切にしたい。      (包)
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