奈良県内の政治経済情報を深掘

2021.8.16掲載  コラム「而今」
 夜、エアコンを消して窓を開ける。心地の良い虫の音が涼を運んでくれる。昼のうだるような暑さをさらに演出する虫とはまた趣が違う。万葉の時代からわれわれは秋の虫を愛し、四季の移ろいを感じてきた▼昨年に引き続き、今年も混乱の夏が過ぎようとしている。全国各地で新型コロナの感染者が急増。振り返ると、ワクチンはまだかと騒いでいた昨年よりも事態は深刻だ▼県内では人口の約4割が接種を済ませたが、同ウイルスの新しい株は想像以上の猛威を振るう。奈良、和歌山を除き、近畿圏はどこも緊急事態宣言。すぐに医療を受けることができない自宅待機も増加している▼県は独自の緊急対処措置の期間延長などを盛り込んだ「コロナ感染者の急増に負けない対処」をまとめた。その中にはこう記してある。「県民一人ひとりが、適切な危機感を持ち…」と▼昼と夜の気温差よりも行政と市民の温度差を感じざるを得ない。「政治や行政はどうせ動かない―」そんな市民の諦めもまん延していることを当事者は感じてはいるはずだが、無視は延々続く。   (染)
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