奈良県内の政治経済情報を深掘

2021.7.12掲載  コラム「而今」
 活発な梅雨前線の大雨で土石流の脅威にただただおののいた熱海市での惨状。これは自然災害じゃなくて人災ではないか▼今回の土石流の最上流付近には、業者の開発に関わる盛り土があった。もともと軟弱な盛り土を含む土砂が、一気に崩れ落ちた感がぬぐい切れない。自然が牙をむいた瞬間だった▼業者が林地など土地を開発するには、それぞれの都道府県の許可がいるのは当然のこと。平群町の大規模なメガソーラーの開発をめぐっては、県への提出申請書の数値に誤りがあり、工事がストップした▼2年前、開発時に土砂災害対策が必要な「砂防指定地」にある葛城山麓の御所市櫛羅で、業者が県条例に違反し無許可で開発を進めていたことが発覚した。市民の度重なる訴えで、県が業者に是正措置を取らせたため事なきを得た▼ただ、このような業者による隠れた横暴が、後を絶たないことも確か。災害防止要件を満たす厳しいガイドラインが必要だ▼平群町の場合、近隣住民へ盛り土などの十分な事前説明がなかった。開発に伴う災害に人命が常に脅かされている。     (寺)
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