奈良県内の政治経済情報を深掘

2021.1.11掲載  コラム「而今」
 「今日を科学で総てを律しようと考えがちなのが、学者さん方やおまへんやろか。科学知識のない我々大工の言い分にも耳を傾けるような学者さんこそ、本当の学者やと思いまんな」▼最後の宮大工として知られる法隆寺宮大工の棟梁・西岡常一氏が、寺院再建の際、学者とたびたび意見衝突した話は有名。著書「木に学べ」(1988年、小学館)で冒頭の言葉を残している▼新型コロナウイルスの感染拡大を受けた首都圏に続き、大阪、京都、兵庫の関西3県にも緊急事態宣言が発令された。医療の言い分、経済界の主張、立場の異なる現場から対立する意見・主張が混在する▼自粛要請に伴う助成などの支出や、政策の責任を取りたくないと見える政府、「発令が遅い」と結果論を振りかざし、時だけを無駄にする野党。我々の思いはいずこへ―▼師のお言葉を拝借するなら、主権者たる国民の言い分に耳を傾けるのが政治家の務めではないか。同著で西岡氏はこうも記している「仕事とは『仕える事』と書きますわな」。住民の代表たる仕事を、切に望む。     (染)
menu
information