奈良県内の政治経済情報を深掘

2020.7.13掲載  コラム「而今」

 停滞を続けた梅雨前線の影響で、九州北部を中心に大雨に見舞われ、甚大な被害が相次いだ先週▼特に熊本県を流れる球磨(くま)川の濁流が牙(きば)をむき出しにして街を飲み込んだ。死者・行方不明者が多人数に及んだ。自然の前での人間の非力さを、今さらながら感じ取る▼同時に、38年前の昭和57(1982)年7月31日から8月3日にかけて、紀伊半島の南海上を北上した台風10号がもたらした「大和川大水害」のことがよみがえる▼県内を流れる大和川は、至る所で堤防すれすれまで水位が上昇し、沿岸一帯に洪水警報が出された。支流では堤防が決壊するところも。王寺町では、支流の葛下川まで流れ込み、中心部は水浸しに▼県内で死者・行方不明者16人、浸水家屋1万2000戸以上の被害をもたらした。大和川堤防を運転していた人が、車ごと濁流の川へ転落する事態も▼この「記憶」を風化させないためにも、自然災害による被害を予測し、被害範囲を地図化した「ハザードマップ」に日々目を通しておく必要がある。家族、地域を守るために。(寺)

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