2019.12.23掲載 コラム「而今」
「コンプライアンスの中身は、法律よりも感情の部分が一番重視されるようになった。朝８時15分にはテレビ各局とも強い映像が出てくるのが特徴。感情を語りかける」▼奈良での講演でこう話したのは、ニューヨーク州の弁護士で、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」などでコメンテーターを務める山口真由さんだ▼山口さんの言う通り、つい最近も視聴者に強い感情を押し出した映像が映し出された。保育園児を預かる多人数の保育士が、女性園長と男性専務理事に電光石火のごとく、辞表を提出したのには驚いた▼「いったい何があったのか」と思うや否や、上司にパワハラにあっての集団行動であったことがコメントで伝わる。園長、専務理事は土下座して謝罪するも、もう後の祭り▼園の経営は人手に渡るうえに、保護者からは他の園に園児を預けるしかないとの判断が下される。こんな不幸な事はない▼普段から部下を責めるような言い方はせず、問題解決がどう図れるか話し合われたのか。テレビからは部下から学ぼうとする姿勢が、余りにも希薄だった事が読み取れる。 （寺）