2019.11.11掲載 コラム「而今」
万葉集の中に「飛ぶ鳥の 明日香の里を置きて去(い)なば君があたりは 見えずかもあらむ」の歌がある。710(和銅3)年2月、元明天皇が藤原宮から寧楽宮(平城宮)に遷(うつ)られる時に、遥かに旧都を望んで故郷との別れを偲んで詠んだ▼それから1300年以上経て県議会では昨年3月、橿原市周辺への「県庁移転」を求める決議を採択した。副題に意味を持たせた「還都 飛鳥・藤原京の実現に向けて」だった▼県下の中南部の人口減少は、全国的にみても著しい。「還都」の中身は人口減少に歯止めをかけ、交通アクセスなどの利便性を活かしながら、中南部に活気をもたらすこと▼先日の橿原市長選挙で、一騎打ちの激戦を勝ち抜いた首長には、「還都」に希望をつなぎ、県の均衡ある発展に直結する施策を推進してもらいたい▼冒頭の万葉集が出典元の「令和」元年の今年、小紙は11月11日創刊した。シンクロニシティ(意味のある偶然の一致)、この日は世界平和記念日。今この瞬間から精一杯、平和を愛し社会正義を貫く事に何ら弛むことはない。 (寺)