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2024.5.27掲載  コラム「而今」
 「もう一度バンザイを」「今度は手を挙げたまま止まって」「奥さんも顔上げて」。御所市長選と香芝市長選の当確の際、両陣営をまたいで取材に来た全国紙の記者が当選者らに放った言葉。何様のつもりか▼極限の中、オリンピックで金メダルを獲得した選手に「噛(か)んで」と注文。自分の意図する構図にしたいがため進行に口を挟む。本来の報道の姿勢ではないことは明らか。「やらせ」であり、取材を受けてくれている当事者への愚弄だ▼SNSの普及から「注目されたい」「目立ちたい」と人の迷惑を省みない「迷惑系」と呼ばれる撮影者や、電車の運行の妨げをしてまでシャッターを切ろうとする鉄道写真愛好家の「撮り鉄」。先の記者の行為はこれらと何ら変わりはない▼新聞やテレビが「マスゴミ」と揶揄されて久しい。誰でもさまざまなツールを使って全世界に配信ができる時代、重要視されるべき記事や写真、映像の信頼性が揺らぐ▼記者の感情や意図は現場に必要ない。こんな恥ずべきことをするならば、もうAIに現場を任せたらどうか。 (染)
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