奈良県内の政治経済情報を深掘

2024.1.29掲載  コラム「而今」
 もう何十年も前の話になるが、自分が奈良市内の小学校、中学校に通っていたころは、1クラス30人ぐらいで、少ない学年でも4組まではあったと記憶している▼今では住宅地の近くにある学校でも1クラスしかないといった話を聞く。また別の場所では「次の年は入学式ができないんじゃないか」と心配している声も▼厚生労働省の「2022年の人口動態統計」で奈良県は、1人の女性が生涯に産む子どもの数の指標になる「合計特殊出生率」が1・25で、全国平均を下回る結果になっている▼そんな中、少ないことを逆手に取り組むのは、過去10年で出産ゼロを4回記録した上北山村。保・小・中一貫教育校の「村立上北山やまゆり学園」では、学年の垣根を超えた合同授業が行われ、子どもの表現力やコミュニケーション力が育まれているという▼少子化の根本的な改善は国すら見通せぬまま、SNSやネットで嘘や偽物の情報が溢れる混沌した時代。「人間力」が過疎地で育まれていくことは、子に受けさせる教育の一つの選択肢になる可能性を感じる。   (梅)
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