奈良県内の政治経済情報を深掘

2024.1.22掲載  コラム「而今」
 100年前に首都圏を襲った関東大震災に直面した芥川龍之介は、震災の大火を「外国人による放火」とのデマを鵜呑みにしていた記述が残っている。いつの世も混乱に乗じた悪意が世にはびこる▼能登半島地震に被災された方々に心からのお見舞いを申し上げたい。まだまだ自衛隊、警察による行方不明者の捜索が続き、混乱がある被災地へ動画撮影者や政治家が足を踏み入れている。極めて迷惑で非人道的と断じざるを得ない▼多くの方々はこんな愚行をすることなく、義援金の活動など、今自分ができることを探している。しかしここにも注意が必要だ。募った義援金や寄付金を自らの懐へ入れる鬼畜が混乱に乗じてはびこる▼「24時間テレビ」でチャリティーを呼び掛ける一方、テレビ局の幹部がその寄付金を着服している事件があった。また阪神淡路大震災時には、県内で募った震災の義援金を物品に代えてリベートを懐に入れる鬼畜もいた▼混乱、災害のときこそ、その人の人格が表れる。鬼畜にはさすがに御釈迦様も「蜘蛛の糸」は垂らしてはくれまい。(染)
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