奈良県内の政治経済情報を深掘

2023.9.18掲載  コラム「而今」
 4歳の女児の命が奪われる痛ましい事件が橿原市であった。母親の交際相手の男(27)が虐待して腹部を圧迫。これが直接の原因で女児は死亡した。しかし、死因以外にも虐待は日常的にあったとみられている▼逮捕された交際相手の男を「怖い」と、女児は何度も母親に訴えていた。にもかかわらず、なぜ母親は女児を守ろうとしなかったのか―。母親へ怒りが込み上げる▼女児への虐待が疑われる通報は、橿原市や奈良県にも寄せられていた。女児が亡くなる1カ月ほど前には、歯科医師から虐待を疑う通報があったが、県警は虐待の判断をしなかった。この時に判断ができていれば…▼現認するまでに虐待は「疑い」との文言が付きまとう。あざや傷を診て、医師が虐待を疑う場合「児童虐待防止法」で児童相談所などへ通告することが義務付けられている▼この義務付けを「その場で保護する」にまで改正しなければならない。医療現場で保護する権限を与える法整備と、現場の負担軽減になる行政サポートを強く望む。通報先が子どもの命を救えないのであれば。    (染)
menu
information