奈良県内の政治経済情報を深掘

2023.8.28掲載  コラム「而今」
 コロナ禍からの本格的な脱却になった今夏、県内各地はかつての賑わいを取り戻しつつある。その一方で、県外の行楽へ出掛けた人も多くいるのではないか▼「ベッドタウン」と呼ばれた奈良県は、大阪府へ大きく依存してきた県だ。県外就業率、県外進学率、県外消費額などさまざまな指標がそれを証明している▼大阪で収入を得て家族を養い、子を育て、週末になると大阪で買い物。大きくなれば県外の高校へと通わせる―。これが奈良県民のスタンダードな姿と言える▼令和13(2031)年に開催予定の国民スポーツ大会(国体)の会場を巡って揺れている。4月に就任した山下真知事は県と橿原市の換地整備を白紙にし、大阪の会場を借りて開催することも視野に検討している▼まちづくりを前進させるチャンスに「財政難」だけを理由に会場を大阪にする安易な施策はどうか。ますます経済も人材も奈良のものは大阪へと流出する▼大阪に献上するこれも「身を切る改革」か。国体がそんな構想になるのなら、せめて万博の何かを奈良にしてもらわなければ勘定が合わない。 (染)
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