奈良県内の政治経済情報を深掘

2023.8.7掲載  コラム「而今」
 高齢者が詐欺に遭う被害が多くなっている。これらを受けて警察や自治体のインターネット被害防止講座や高齢者のスマホの使い方講座が各地で開かれている。「知る」ことで被害を未然に防ぐ狙いだ▼知ることについて、江戸時代の儒学者・貝原益軒の言葉で「知って行わざれば、知らざるに同じ」というものがある。知っていても行動に移さなければ、全く知らないのと同じの意。逆をいえば、知らなければ行動に移すことができないということ▼細井裕司県立医科大学学長が軟骨伝導イヤホン説明会の中で「難聴が認知症防止のためにできる唯一のファクター」と熱弁した。聞こえにくくなることで脳の刺激や処理が遅れ、認知症が加速するというのだ▼その時に真っ先に思い浮かんだのは、自分の母が認知症だと診断される以前の様子▼あまりにも昔のことで記憶は曖昧だが、当時もしこの話を知っていたなら―。病状の進行を遅らせることができたかもしれないと、さいなまれる。認知症に悩む患者と家族の痛みが和らぐ医療や環境の整備を願ってやまない。     (梅)
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