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2023.5.29掲載  コラム「而今」
 勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし。名将・野村克也監督が自戒に使っていたが、元々は江戸時代の平戸藩主で剣術家でもあった松浦清の言葉▼90周年を迎えた牡馬クラシックの最高峰、東京優駿(ダービー)は「最も運のいい馬が勝つ」。皐月賞は「最も速い馬が勝つ」、菊花賞は「最も強い馬が勝つ」と言われている▼勝ちや勝ち方はいろいろ。自身の力だけでどうこう決まるものでもない。先の統一地方選の知事選もそう。自民系候補の一本化はならず、その間隙を縫って維新と手を結んだ山下真氏が勝利し、新知事に就任。議決を得た今年度事業の一部停止も示唆する▼県議会の臨時議会が開かれ、最大会派の自民系が正副議長のポストを独占。維新との対決姿勢を鮮明にした。自民は知事選の「負け」をいかに総括して前に進むか▼一方維新の幹部すら「漁夫の利」と称した知事選勝利を、山下新知事はどう捉え、今後の県政運営に挑むのか―▼名将野村監督はこの言葉も大事にしていたそうだ。「素直さと謙虚さは成長に欠かせない姿勢である」。      (染)
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