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2022.11.7掲載  コラム「而今」
 「物価高倒産」という不気味な言葉が、このところ独り歩きしている。経営体力が限界に達した中小企業・小規模事業者は特に深刻だ▼物価高倒産は、法的整理(倒産)企業のうち、原油や燃料、原材料などの「仕入れ価格上昇」や取引先からの値下げ圧力などで価格転嫁できず「値上げ難」で、収益が維持できずに倒産するケース▼帝国データバンクが報告した今年度上半期(4~9月)の物価高倒産動向調査の件数は、159件で前年同期(75件)を2倍以上も上回った。調査を開始した平成30(2018)年以降で最多▼業種別では建設業(40件)が最も多く、運輸、通信、製造、卸売と続いた。新型コロナ、ロシアよるウクライナ侵攻が追い撃ちをかけ、何もかも値上がりの時世だ▼日常生活の中でも、物価高に対して敏感に反応している向きがある。外食、旅行、衣服・履物類へは、まず財布のひもを緩めることに戸惑いを感じる▼懸念されるのが、前例にない水準で推移していきそうな物価高倒産。企業によっては、年を越せるかどうかが山場を迎えている。 (寺)
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