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2022.8.15掲載  コラム「而今」
 今、明日香村の県立万葉文化館で特別展「平山郁夫展―その旅路をたどる」が開かれている▼日本画家で文化勲章受章者の平山氏は平成21(2009)年に79歳で亡くなっているが、奈良との関係では集大成ともいえる薬師寺玄奘三蔵院の「大唐西域璧画」を残したことで知られる▼7場面13枚、全長49㍍の大壁画。玄奘三蔵が17年間にわたり旅した地を、平山氏が実際に追体験して描いた。好きな色の群青、金、緑の持ち味を見事にかもし出している▼平山氏は現在の広島県尾道市出身。旧制修道中3年の折、学徒動員先の広島陸軍兵器補給廠(しょう)の材木置き場の小屋にいた。そのおかげで「今日の画家として生かされた」と回顧している▼白血球数が異常に減少する被爆の後障害に苦しんだ平山氏は作品に「平和への祈り」を入魂。原爆ドームの世界遺産登録にも奔走し、広島市名誉市民が贈られた▼きょう15日は終戦記念日。新型コロナ変異株の悪霊の中で迎える。先祖の供養を懇ろにしながらも、遠くウクライナの終戦を祈らずにはいられない。      (寺)
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