奈良県内の政治経済情報を深掘

2022.7.4掲載  コラム「而今」
 「みずき(水木)」というのは、根から水を吸い上げる力が強く、春先に枝を切ると水が滴り落ちることから、その名が付いた▼奈良県が奨励品種の小麦に採用した「はるみずき」は、暖かな春風に吹かれて、瑞々(みずみず)しく光る麦の穂に豊かな実りがもたらされることを願っての命名らしい▼その「はるみずき」が、来年度の秋に作付けされる小麦から、既存奨励品種のうどんなどに適した「ふくはるか」から全面的に切り替えられるという▼タンパク質含有率が高いうえ、生地に弾性力が強く、パン製造に適しているというのがその理由。生産農家にとっても、草丈が短くて栽培が容易、播種(はしゅ)から収穫までの期間が短い早生品種であることが喜ばしい▼ひるがえって、学校給食の現場をのぞくと、米は100%県産が供給されているのに対し、パン材料の県産小麦は1割に過ぎない▼全国都道府県別パンの消費量は、奈良市が1位という結果もある。地産地消、安心・安全な食の提供―。学校給食のみならず「はるみずき」の生産拡大に命運がかかっている。    (寺)
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