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2022.5.16掲載  コラム「而今」
 江戸時代中期に活躍した商人で思想家の石田梅岩。道徳と経済の両立を説き、後に「論語と算盤(そろばん)」の渋沢栄一、「社会貢献が使命、その報酬が利益」の松下幸之助に影響を与えた▼「石門心学」という思想体系は、今も企業経営に生かされている。そこで繰り返し強調しているのが「正直」の必要性。正直であることで、人から信用される。信用されることでビジネスは成功に向かうというのだ▼またも牛丼チェーン「吉野家」の話。元常務が若い女性を牛丼好きにする方法について、薬物中毒を連想させるような表現を使ったことに続き、今度は採用説明会への参加を申し込んだ大学生に、本人に確認しないまま外国籍であると判断し、参加を断っていた▼問題発覚後、吉野家は外国籍の確認を廃止し、今後は採用説明会へ全員参加するようにしたという。初めからモラルに照らして、それに反することはやってはならないはずだ▼言っていることとやっていることが理解できない。信用に値しない。石田梅岩の道徳と経済の両立を学んだ方がいい。      (寺)
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