奈良県内の政治経済情報を深掘

2020.10.19掲載  コラム「而今」
 大通りから入った民家が並ぶ小路に稲荷の祠がある。誰が見ているわけでもなく、稲荷に手を合わす腰を丸めた女性―。その姿からは、日本の豊かな心と、美を感じさせる▼政府の肝入りで始まった「Gо Tо イートキャンペーン」は、インターネットの予約サイトを通じて食事をした場合、昼食で500円分、夕食で1000円分のポイントが後日もらえる仕組み。飲食店の活気を取り戻す狙いがある▼しかしながら、このキャンペーンは抜け穴だらけ。大手格安チェーン店に夕食の予約をし、税込み327円の食事で済ませても1000円分のポイントが付与される。実質673円の利益が出るというのだ▼これらの手法は「錬金術」と呼ばれている。また同キャンペーンは利用回数を問わないため、夕食を予約して1000円分の食事をし、1000円分のポイントをもらう「無限ループ」という手法も…▼政府はこれらの手法の規制を検討するという。行政の施策に性善説は通用しない。残念ながらこういう心の〝せこい〟人々が湧き出てくるのだから。  (包)
menu
information