奈良県内の政治経済情報を深掘

2020.9.14掲載  コラム「而今」
 10年前の9月7日、尖閣諸島沖で海保庁の巡視船に中国漁船が衝突した。当時の菅直人首相は中国の反発を恐れ、この船長を釈放した▼その年11月に横浜でAPECがあり「胡錦濤が来なくなる」という理由だった。前原誠司元外相はこれに強く反対し「来なくてもいい。中国が国益を損なうだけだ」と主張したが、菅首相に押し切られたとの報道があった▼これをみて小欄は、昭和57(1982)年のフォークランド紛争を思った。英国が1833年以来、実効支配を続けていたフォークランド諸島に、アルゼンチンが領有権を主張して侵攻した▼当時の英首相は鉄の女と言われたサッチャー。まず彼女は国連を舞台に強力な外交戦を展開した。当時英国は「自国の利益を守る意思と能力がない」と思われていた。だが彼女には、国の名誉と国際法は、力の行使に勝るという強い信念があった。一連の顛末はサッチャー回顧録に詳しい▼最終的に派兵を決める閣議で閣僚が皆尻込みするのを見て「この内閣に、男は私一人か」と、彼女が言ったとか言わなかったとか。(耕)
     
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