奈良県内の政治経済情報を深掘

2020.3.2掲載  コラム「而今」
 10年前の平城遷都1300年祭の開催以降で、これほど閑散とした奈良市内を見たことはない。春を呼ぶ東大寺二月堂の「修二会」(お水取り)も例年より明らかに参拝客が少なく、コロナウイルスの影響を思い知らされる▼本紙の取材に応じてくれた奈良市のホテル経営者は「宿泊者は通常の4分の1。創業以来、初めて休館日を設けた」とも。ただこの機会を「奈良の観光戦略を見直す機会にしなければならない」と力を込める▼中国をはじめとするインバウンドで好調だった観光だが、コロナウイルスの影響や懸念が広がる中、大きなダメージを受けている。旅館やホテル、飲食関係者からは「経営がもたない」といった声も出始めている▼もともと県外消費率が高い奈良県は、こういった有事の際の経済的影響をもろに受ける。先述の経営者は「飲食や観光など、県内需要を高めていくような工夫ができないか、そういったことにこの時間で向き合いたい」と語る▼冬が明け、この難を乗り越えた春を待つ―。無病息災をもたらすとされるお松明の火の粉に願う。(包)
menu
information